最近、副業に寛容な会社が増えています。加えて、今回のコロナ禍で在宅勤務が増え、週末起業は格段にやりやすくなっています。それを追い風に、週末起業に積極的に取り組むのはいいですが、絶対やってはいけないこともあります。特に、避けるべきは職場でのトラブルです。会社を辞めずに始める週末起業を続けるには、会社と良い関係を続けることが重要です。会社の寛容さに甘え、一線を越えれば取り返しがつかないことになります。不信感を持たれれば、会社に居づらくなります。それを避けるために何に注意するべきか、今回は「職場の地雷」について紹介したいと思います。(経営コンサルタント 藤井孝一)
在宅勤務が終わり
歯車が狂いはじめる
Dさん(30代)は、大手広告代理店に勤務するかたわら、週末起業でデジタルマーケッターとして活躍しています。
きっかけは、政府の「働き方改革」のかけ声に答える形で、会社が2年前から副業を解禁したことです。同じように副業人材を積極的に自社で活用しようとする企業が増えて追い風になっています。
そんな環境下でDさんは、本業の経験を生かし、ブランドを周知する仕事を企業から受託しています。具体的には、Web広告の戦略や施策の立案と実行、ブランドサイトやランディングページの作成やSEO対策です。
まずクラウドソーシングのサイトに登録し、飲食チェーンの案件を受注しました。本業の経験が生きて、予想以上の効果を上げたため、クライアントが他の会社を紹介してくれるなど口コミで広がり、今では複数のクライアントを受け持っています。だいたい月平均で40万円前後の副収入を得ています。
新しい働き方を体現するビジネスパーソンとして、メディアで取り上げられたこともあり、職場でも羨望(せんぼう)の眼差しを向けられています。
ところが、最近計画が狂いつつあります。これまで在宅ワーク中心だった本業の仕事ですが、出社日が増えてきました。移動や拘束時間が増えて慢性的時間不足に陥っており、仕事のクオリティーが落ちています。