「そろそろミサイル発射か」と予期していた?
東京不在の首相、過去にも
衆議院議員選挙公示日である10月19日午前、北朝鮮が日本海へ向けてミサイルを発射した。北朝鮮の国防科学院の発表では、新型の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)だったという。
この時、岸田文雄首相は選挙の第一声を上げるため福島にいた。「官邸危機管理の要」である松野博一官房長官も自身の選挙区である千葉県にいた。慌てて官邸に戻った岸田首相は、国家安全保障会議を開催して、「北朝鮮のミサイル技術の著しい発展は我が国と地域の安全保障にとって見過ごすことができない」として、関係閣僚に「敵基地攻撃能力の保有」の検討を指示した。
実は今回のミサイル発射に関しては、日本の防衛関係者、そして政府高官の多くは、「そろそろ発射するだろうなあ」と予測していた可能性が高い。つまり「想定内」だったのだ。
なぜかというと、北朝鮮の金正恩最高指導者は権力の座に座ってから、日本や韓国の国政選挙を意識したスケジュール感で、ミサイルを打ち上げてきた、という「実績」があるからだ。
例えば、2016年の参院選は今回とまるっきり同じパターンで、6月22日の公示日にやはり北朝鮮が弾道ミサイルを発射している。この時も、安倍晋三元首相はやはり選挙の第一声をあげるため、大分県由布市に滞在していた。官邸には菅義偉官房長官がいたが、対応状況を確認してから選挙の遊説に出かけてしまったことで叩かれている。当時、民進党の岡田克也代表はこう訴えた。
「我々の時にも北朝鮮問題があり、関係閣僚5、6人が選挙期間中も東京にいた」(読売新聞2016年6月23日)