先日、岸田新首相が所信表明演説で「新しい資本主義」を提唱するなど、多くの人が資本主義社会の行き詰まりを感じている中、関心が高まっているマルクスの『資本論』。広がる格差やこれからの働き方への不安に対し、『資本論』はそういった問題を深く考えるためのヒントがたくさん書かれています。そこで今回は、経済学博士・的場昭弘さん監修の著書『図解 明日を生きるための「資本論」』(青春出版社)掲載の池上彰さんとの白熱対談「『資本論』が教えてくれる これからの働き方」(後編)を抜粋紹介します。
これからの働き方はどう変わっていくのか?
池上:「ポストコロナ」か「ウィズコロナ」かというお話がありますが、状況を見るとどうもウィズコロナとなりそうですね。2回ワクチン注射を打っても、まだブレイクスルー感染する人がいるので、3回目のワクチン注射が取りざたされています。それでも時間がたつと抗体量は減ってきますから、毎年打たなければいけなくなるかもしれません。
的場:コロナとの共存は様々なことを変えていくでしょうね。たとえば、これまで年間14億~15億人の人々が世界を移動していましたが、コロナ感染の拡大によって激減しました。日本でも多くの人が海外旅行に行っていましたが、それはもうできなくなるかもしれません。
私の大学でも留学はズームによるオンライン留学になりました。コロナが収束するまでの一時的措置と思われていますが、もしかするとこの先もずっとズーム留学が続くかもしれません。実際に行くとなると、様々な予防接種を打ったり、隔離期間があったりなどのリスクを負うことになりますからね。