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視野を広げるきっかけとなる書籍をビジネスパーソン向けに厳選し、ダイジェストにして配信する「SERENDIP(セレンディップ)」。この連載では、経営層・管理層の新たな発想のきっかけになる書籍を、SERENDIP編集部のチーフ・エディターである吉川清史が豊富な読書量と取材経験などからレビューします。

1986年発売の缶ビールの復刻は
「定番」になり得るか

 筆者はビール好きだ。コロナ禍以前から家飲みが主で、一度に大量に飲むことはない。コンビニやスーパーで買った缶ビールを1本から2本、たしなむ程度だ。

 割と新しもの好きなので、新作が出れば喜んで購入するのだが、最近「おいしいな」と感心したのが、「アサヒ生ビール(マルエフ)」である。案の定、売れ行き好調らしい。

 今年9月14日に発売されたばかりのマルエフは、正確には新作ではない。1986年に発売された缶ビールの復活販売したものだ。もともとはアサヒビールによる5000人の嗜好(しこう)調査をもとに開発された「コクがあってキレがある」新ビールで、翌年の「スーパードライ」ブームの足がかりとなったという。1993年に缶は終売となったが、飲食店の樽生だけは継続して売られていた。

 いわば「復刻版」なのだが、アサヒビールは2022年までに市場に定着させ、スーパードライに次ぐ「第2の柱」にしたいともくろんでいるそうだ。その通りになれば、マルエフは、キリン一番搾り、アサヒスーパードライ、サッポロ黒ラベルといった「定番」の一つとなるのだろう。この味ならば、十分ポテンシャルはあると思う。