コロナで死亡した警官は
銃撃による死者の約5倍
「ワクチン接種を拒否するなんて、意味がわからない!」
アメリカの国立アレルギー・感染症研究所所長で感染症対策トップのアンソニー・ファウチ博士は10月19日にテレビ番組に出演し、怒りを堪えながらある重要な職務に就いている人々に対してそう警告を発した。
その相手とは全米の警察官だ。
国民の安全と治安を守るのが仕事の警察官なら率先してワクチン接種を受けるのが当たり前ではないかと思われるだろう。だが、「自由の国」アメリカでは事はそう簡単にいかない。新型コロナウイルス感染者数がいまだに1日8万人を超えている中、ワクチン接種義務化に反対する警察官たちの激しい反発が各地で広がっている。
CNNの報道によれば1万2000人いるシカゴの警察官の半数が接種証明の提出を拒んでおり、シアトルでは1325人いる警察官のうち140人ほどがワクチン接種を拒否しているという。また、ラスベガスやアトランタでは3分の1の警察官しか接種を受けていない。
アメリカの政治の中枢であるホワイトハウスや議会がある首都ワシントンでさえ警察官の接種率は42%にとどまっている。
アメリカの警官の殉職数を記録する「オフィサー・ダウン・メモリアル・ページ」によれば、2020年と2021年に新型コロナで死亡した警察官は銃撃による死者の約5倍にも上っているという。ワクチン接種しないまま職務中に感染者と接触する機会が多いからだろう。
それにもかかわらず、なぜこうも多くの警官たちがワクチン接種義務化を拒絶しているのだろうか。