蟹瀬誠一
なんとも恐ろしいまでの復讐劇だった。今年秋の中間選挙に向けた米国共和党予備選挙のことである。昨年1月の2回目の弾劾裁判でトランプ前大統領に反旗を翻した勇気ある10人の共和党下院議員のうち4人がトランプの放った“刺客候補”に破れ、他4人も出馬を断念。辛くも勝ち抜いたのはわずか2人だけという結果となったからだ。

「(ロシアの)プーチンが、ついにルビコン川を渡った」、米国のニュースウェブサイトAXIOSのマイク・アレン記者はそう書いた。現地時間21日夜(日本時間22日未明)、ロシアのプーチン大統領は1時間に及んだテレビ演説で、親ロシア派武装勢力が実効支配するウクライナ東部(ドンバス地方)の2地域の独立を一方的に承認し、ロシア軍を「平和維持」のために派遣するよう国防省に指示したからだ。

キング牧師をたたえる祝日の17日、各地で民主主義の危機を訴えるイベントやデモ行進が行われた。半世紀以上前に彼が命を賭して守ろうとした民主制の礎である公平な選挙権が今、復権を狙うトランプ前大統領とその一派の悪巧みによって危機にひんしているからだ。

日本の実業家の前澤友作氏らが搭乗したロシアの宇宙船が先月に打ち上げられたことで話題となったバイコヌール宇宙基地がある中央アジア・カザフスタンで、今月初め160人以上が死亡する流血の惨事が起きた。実はその騒乱に乗じて漁夫の利を得た強権政治家がいた。ロシアのプーチン大統領(69歳)である。

日本は諸外国に先駆けて、2018年に全都道府県が超高齢社会(65歳以上の人口が人口の21%以上)に突入した。その先に待ち受けているのは、年間150万人以上が死ぬとされる「多死社会」だという。人口の多数を占める高齢者が次々と寿命で亡くなり、人口が減少していく社会のことだ。

女性の権利か、神への冒涜か。人工妊娠中絶の是非を巡って全米が注目する連邦最高裁判所の審理が12月1日に始まった。すでに世論を二分する新たな政治的論争に発展しており、トランプ前大統領が仕掛けた負の遺産でバイデン民主党政権を窮地に追い込もうという思惑が見え隠れしている。

建国前からのさまざまな史跡が点在し米国政治の生きた歴史博物館として知られるバージニア州で今月2日知事選が行われ、予想外の結果に衝撃が走った。来年の中間選挙の前哨戦として注目されていた民主党の牙城で、民主党元知事のテリー・マコーリフ氏が、共和党候補でトランプ前大統領を支持するグレン・ヤンキン氏に敗れてしまったからだ。

「この父親にしてこの息子」とはよく言ったものだ。トランプ前米大統領の長男ドナルド・トランプ・ジュニア氏が、失意のどん底にある有名俳優アレック・ボールドウィン氏をあざけるTシャツをネット上で販売していることが明らかになった。

「ワクチン接種を拒否するなんて、意味がわからない!」アメリカの国立アレルギー・感染症研究所所長で感染症対策トップのアンソニー・ファウチ博士は10月19日にテレビ番組に出演し、怒りを堪えながらある重要な職務に就いている人々に対してそう警告を発した。その相手とは全米の警察官だ。

アメリカは「狂気と幻想のファンタジーランド(Fantasyland: How America Went Haywire)」だと書いたのは著名な米作家カート・アンダーセンだったが、その通りだと思わせる出来事が起きた。全米最大の4000万の人口を擁するカリフォルニア州で9月14日に行われた、州知事リコール(解職)投票のことである。

新月の前夜だった。折からの停電がかさなった漆黒の闇の中、米軍特殊部隊の精鋭はヘリコプターから垂らされたロープを伝って高い塀に囲まれた3階建ての豪邸に降下していった。

「アフガニスタン撤退の完了を宣言する!」米中央軍のケネス・マッケンジー司令官のその悔しさをにじませた言葉と共に、アメリカの一番長い戦争が8月30日終結した。9・11米同時多発テロからまともな戦略もないまま20年間も続いたアメリカの「テロとの戦い」は、掃討を目指したイスラム原理主義組織タリバンが再び復権するという皮肉な結果で幕を閉じたのだ。

新型コロナウイルスの恐怖と灼熱(しゃくねつ)の日差しの中で、1年遅れの2020東京オリンピックが始まってしまった。「始まってしまった」とあえて書いたのは、その開催目的がいまだに釈然としないままだからだ。 当初、安倍前首相や菅首相は復興五輪、コンパクト五輪を訴えていたが、いつのまにか看板が「人類がコロナに打ち勝った証し」や「安心・安全」にすり替えられている。ならばなぜ無観客なのか。緊急事態宣言下でも選手村で感染者や濃厚接触者が相次いでいるではないか。国立競技場ではスタッフとして働く外国人による性的暴行事件まで起きている。

「アメリカを取り戻す!」トランプ前米大統領が退任後初の大規模集会でそんなトランプ節を炸裂させたわずか1週間後、執念の捜査を続けるニューヨーク州検察がついに攻勢に出た。

急進左派のポピュリストを選ぶのか、はたまた救世主から「殺人者」に転落した日系元大統領アルベルト・フジモリ受刑者の娘を選択するのか。ナスカの地上絵や古代インカの空中都市マチュピチュで知られる南米の共和国ペルーの大統領選挙で今、国民の意見が真っ二つに分かれている。

事件はイスラエルの商都テルアビブで起きた。宿敵であるPLO(パレスチナ解放機構)のアラファト議長と歴史的な和解を果たしノーベル平和賞を受賞したイスラエルのイツハク・ラビン首相は、市庁舎前での10万人による平和集会に出席後、待機していた車に乗り込もうとしていた。

また痛ましい事件が、米カリフォルニア州ロサンゼルスで起きた。今月21日の朝8時頃のことである。ジョアンナ・クルーナンさんは、いつものように6歳の息子エイデンちゃんを後部座席のチャイルドシートに乗せて、ハイウェー55号線を学校に向かっていた。出口から降りるために右側に車線を変更したところ、突然異変が起きた。

バイデン米大統領の就任から4月末で100日になった。第32代フランクリン・デラノ・ルーズベルト大統領(FDR)が就任から100日以内にアメリカを世界大恐慌から救出すると約束して以来、新任大統領の仕事ぶりをまず100日目に評価することが、アメリカでは慣例となっている。

バイデン米大統領は就任後初の施政方針演説で人種差別の根絶を訴えた。だが、警官による黒人への暴力事件が続く背景には、長きにわたる警察の闇歴史がある。

イラン中部ナタンツの核関連施設で4月11日、大爆発が起きた。イスラエル最強の諜報機関「モサド」によるサイバー攻撃ともいわれている。このニュースを知ってすぐに筆者は、4年半にわたってモサドを率いたエフライム・ハレヴィ長官の言葉を思い出した。
