関西スーパーマーケットの臨時株主総会が10月29日に開かれ、エイチ・ツー・オー リテイリング(H2O)と経営統合する議案が承認された。承認には3分の2以上の賛同が必要で、賛成は66.68%とわずかに上回った。関西スーパー買収を目指した首都圏地盤のスーパー、オーケー(横浜市)を僅差で退けたが、この死闘は関西スーパーに大きな十字架を背負わせた。(ダイヤモンド編集部編集委員 名古屋和希)
賛成66.68%と僅差でH2O提案が承認
株主から批判続出、6時間超の異例の総会
「議案は賛成が3分の2以上となり原案通り可決されました」
10月29日、兵庫県伊丹市内のホテルで開かれた関西スーパーの臨時株主総会。議長の福谷耕治社長は、H2Oと統合する議案が66.68%の賛成で承認されたことを告げて「勝利宣言」した。
この日、午前10時に始まった臨時株主総会は異例づくめの展開だった。質疑に立った複数の株主が、H2Oとの統合案を厳しく批判。福谷社長の議事進行を問題視するヤジもたびたび上がった。
質疑の中で、ある株主は関西スーパーと統合する計画であるH2O傘下のスーパーの自己資本比率を引き合いに、「優良な関西スーパーがなぜボロボロの会社と統合しないといけないのか。正気の沙汰ではない」と批判。会場からも拍手が上がった。別の株主も、「オーケーに良いイメージは持っていなかったが、店に行ってみたら素晴らしいと感じた。ぜひ一緒になってほしい」などと述べた。
株主からの質問は延々と続き、昼過ぎに途中休憩をはさみ、質疑は午後2時前に終了した。さらに議案の採決にも時間を要した。
あまりに僅差となったため、集計作業が長引き、結果が出るまでに2時間も費やしたのだ。閉会したのは開始から6時間超経った午後4時過ぎのことだった。
閉会後、記者団の取材に応じたオーケーの二宮涼太郎社長は、「本当に僅差だったので悔しいが受け入れたい」と敗戦の弁を述べ、買収提案を撤回すると表明した。
一方、同じく取材に応じた福谷社長は、「シナジー効果を発揮できるように初年度からスタートダッシュを切りたい」と強調した。
オーケーが買収提案をした6月上旬から5カ月間に及ぶ買収合戦はこれで終止符が打たれた。だが、この死闘は関西スーパーとH2Oに重い十字架を背負わせた。