これまでの銀行選びといえば、給与口座として使う生活費用のメインバンク、資産形成用のサブバンクの2~3行を使い分けるのが主流だった。しかし今では、まるでアプリを試すかのように、カジュアルに銀行を選ぶことができるようになった。というのも、まるで無関係の企業が銀行サービスを始めているからだ。おまけに、利息ではなくポイント付与に力を入れるところも増えた。預けてもお金は増えないといわれて久しいが、使い方次第では利息以上のメリットが受けられる銀行も登場している。(消費経済ジャーナリスト 松崎のり子)
銀行ではない企業がどんどん参入へ
ヤマダホールディングスが銀行サービスを開始
ヤマダホールディングス(以下、ヤマダ)が銀行サービスを始めた。名称は「ヤマダNEOBANK」。スマホだけで口座開設ができ、給与受け取り(月30ポイント)、円預金残高(月末残高合計10万円以上で月10ポイント)、ヤマダNEOBANKデビットカードでの買い物(税込み5000円以上で50ポイントだが、ヤマダデンキ店舗で使った場合は100ポイント)などで、ヤマダポイントが貯まる。共通ポイントが付与される銀行は多いが、それに比べても還元率はかなり高めといえる。
預金や振り込み、円定期や外貨積み立てなど、通常の銀行機能は問題なく備えており、専用の住宅ローンもある。さらに、グループのハウスメーカーで住宅を購入したユーザー向けに、家電や家具を合算したローン提供も備えている。アプリがあれば全国のセブン銀行ATM・ローソン銀行ATM(一部対象外)で入出金ができるほか、他行の口座から指定金額を引き落とし、自動でヤマダNEOBANK口座へ入金できるという無料の「定額自動入金サービス」も用意した。銀行サービスを使えば、買い物なしでもヤマダポイントが貯まるのだから、ヘビーユーザーにはありがたい。
これは、ヤマダが銀行業を独自にスタートしたわけではない。住信SBIネット銀行が提供するBaaS(バース=Banking as a Service。銀行機能を提供するサービス)を利用したものだ。
実質的には「住信SBIネット銀行 ヤマダネオバンク支店」に口座開設をし、預金の管理は当銀行が行う。住信SBIネット銀はこのサービスを「NEOBANK」と呼称して、ヤマダ以外にも提供している。