退職金で投資を始める人も多いが、それは危険である。現役時代から少しずつでいいから積み立て投資を続けておくほうが安全だ。(経済評論家 塚崎公義)
退職金を受け取ると、
金融資産が預金ばかりでは危険!
サラリーマンの多くは、住宅ローンの返済に追われているため、金融資産は多くないだろう。それが、退職金を受け取った途端に多額の金融資産を持つことになる。問題は、金融資産が銀行預金ばかりになっていることである。
大切な老後資金を全額預金で持っているのは危険だ。それは、預金がインフレに弱いリスク資産だからである。インフレのリスクを意識していない読者も多いだろうが、老後資産を考える際には、しっかりインフレのリスクについても考えておく必要がある。
少子高齢化による労働力不足により賃金が上昇していけば、それが売値に転嫁されてインフレになるかもしれない。毎年1%のインフレが30年続くと、老後資金が30%目減りすることになるわけだ。
仮に南海トラフ大地震が来れば、復興資材の価格が高騰するのみならず、食料品などがすべて高騰するだろう。そうなれば、多額の銀行預金を持っていても老後資金が不足してしまうかもしれない。
したがって、老後資産のある程度の部分はインフレに強い資産である株や外貨に資産を分散しておいたほうが安全だ。詳しくは拙稿 「日米の株価連動型投資信託と預金に老後資産を振り分けるべき理由」(https://diamond.jp/articles/-/272409)を併せてご参照いただければ幸いである。
もっとも、投資初心者は株や外貨を買うよりも、日本株の投資信託と外国株投信を買うほうが、銘柄分散が容易でいいだろう。したがって、本稿で株や外貨と記したものは日本株投信と外国株投信と読み換えていただきたい。