鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスPhoto Credit: Cynthia S. Goldsmith and Thomas Rowe. 鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルス

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックを受けて講じられた感染拡大防止措置により、米国では、2020~2021年のインフルエンザシーズンにおけるインフルエンザ症例が、かつてないほどの低水準に落ち込んだことは周知の事実だ。そんな中、山形系統のB型インフルエンザウイルス(以下、山形系統)については絶滅した可能性も考えられるとする研究報告が発表された。メルボルン大学(オーストラリア)微生物学・免疫学分野のMarios Koutsakos氏らによるこの報告は、「Nature Reviews Microbiology」に9月28日掲載された。

 インフルエンザウイルスにはA、B、C、Dの4つの型があり、このうちA型およびB型インフルエンザウイルスはヒトの間で流行する。144種類の亜型があり、ヒト以外にも鳥類やブタなどに感染するA型インフルエンザウイルスは、数年から数十年の間隔をおいて大流行する。これに対して、B型インフルエンザウイルスはヒトのみに感染し、亜型は存在せず、オーストラリアのビクトリア州で分離されたビクトリア系統と山形県で分離された山形系統の2系統に分類される。山形系統は、他の主要なインフルエンザウイルスに比べると感染性が低く、進化のスピードも遅いため、ワクチンに含まれる山形系統の株は、2015年から変更されていない。

 Koutsakos氏らの調べによると、2020~2021年のインフルエンザシーズンに、世界で山形系統の症例疑いとして公衆衛生当局に報告されたのはわずか31例で、これらの患者から実際に山形系統に属する株が分離された例や遺伝子検出法で同定された例はなかったという。