小京都の無期休業が
中国にとって痛くもかゆくもないワケ

 さて、冒頭で書いた小京都の商店街が、仮にこのまま休業のままでもまったく問題ない理由がある。それは、このプロジェクトのメインは、富裕層向けの住宅販売だからだ。

 日本メディアで取り上げられがちな商店街はいわば枝葉にすぎず、住宅販売が幹なのだ。要するに、そもそも観光を事業の柱にしていないのだ。

 小京都は総面積が東京ドーム13個分という広大な敷地を持つ。そのほとんどがリゾート別荘で構成されている。

 ここを生活の拠点にする富裕層もいるだろうが、多くが別荘利用だと思われる。ほぼマンションしかない中国の新築物件のなかで、珍しい戸建て住宅である点も魅力なのだろう。その建物が和風建築で、しかも温泉付きというわけだ。

 販売される住宅は、第3期まで計画されていて、販売済みの第1期は、ほぼ完売。第3期まで完売する見通しとのこと。現在、中国の不動産業界では業界大手・恒大集団の経営危機をはじめとする問題が起こっているため、延期や多少の変更はありえそうだが、現状、プロジェクト自体はほぼ成功だと大連では認識されている。

 そもそも、現在、SNSなどでも本音を書き込めないデジタル監視が強化されている中国で、日本のテレビ局とはいえ、顔や発言内容など記録が残るテレビインタビューで来場者が本音を口にするわけがない。当然、「日本による文化侵略だ」「中国にこんな施設を造るべきではない」等々の中国政府を意識した発言をせざるを得ないことは、容易に想像できる。

 そんな背景を分かった上で取材して、「中国人からは一様に批判的な声が聞かれます」と伝える日本のオールドメディアは、いかがなものか。