京王線事件の「ジョーカーなりきり男」、ナルシスト型犯罪を防ぐ効果的な方法写真はイメージです Photo:PIXTA

凶悪事件の裏側にある
架空の世界のキャラクターへの憧れ

「うわっ、完全に自分に酔ってる感じじゃん…」

 誰もいなくなった電車内で足を組んで座り、タバコを一服する男の映像を見て、多くの人がそう感じたのではないか。

 衆院選の開票作業が進んでいた10月31日夜、東京の京王線車内で乗客を刺した後、車両内に火を放った服部恭太容疑者(24)のことだ。

 この凶行で72歳男性が重体、そのほか16人が怪我を負った。「仕事で失敗し友人関係もうまくいかなくなり死にたいと思ったが、自分では死ねず死刑になりたかった」という、無差別殺傷事件にありがちなハタ迷惑なロジックに怒りの声が多く上がった。さらに、輪をかけたのが、容疑者のこんな供述だ。

「バットマンの登場人物のジョーカーは平気で人をやっつけていて、それに憧れていた。この日のためにジョーカーの服を買った。殺せなくて悔しい」

 現実とフィクションを混同するというあまりに幼稚な思考回路に衝撃を受ける人も多いだろうが、特に珍しい話ではない。

 凶悪な事件に手を染める人の中には、映画、アニメ、コミックなどに影響を受けるケースが少なからず存在するからだ。