新幹線改札から出てきた捜査員ら新幹線改札から出てきた捜査員ら(2018年06月10日撮影) Photo:JIJI

走行中の新幹線で起きた通り魔殺傷事件で、司法は「一生、刑務所に入りたい」「自分の命は惜しい(から死刑にはなりたくない)」という被告の望みを聞き入れた。昨年6月、東海道新幹線で3人を死傷させ、殺人と殺人未遂罪に問われた小島一朗被告(23)の裁判員裁判。横浜地検は9日、無期懲役を求刑し、横浜地裁小田原支部は18日、求刑通り無期懲役を言い渡した。量刑は検察側と弁護側双方の要求通りで、このまま確定するとみられる。この判決が確定すれば、小島被告が望む「無期懲役囚」という身分と、食事など生活に必要な費用を国が生涯、保証することになる。(事件ジャーナリスト 戸田一法)

「反省見られず再犯は必至」と検察側

 判決によると、小島被告は昨年6月9日午後9時45分ごろ、新横浜-小田原間を走行中の東京発新大阪行き「のぞみ265号」で、20代の女性2人をナタで襲って重傷を負わせ、止めに入った会社員、梅田耕太郎さん(当時38)=兵庫県尼崎市=の首など78カ所をナタやナイフで切り付けて殺害した。

 公判で小島被告は、犯行の動機について「子どものころから刑務所に入るのが夢だった」と陳述。

 そして「有期刑だったら出所後に必ず人を殺す」「刑務所で更生することはない」などと述べる一方、死刑の可能性について問われ「おびえている」とも明かしていた。

 検察側は論告求刑公判で「身勝手な動機による計画的で凶悪な無差別殺人。反省の態度は一切見られず、再犯は必至と考えられる」として無期懲役を求刑。