欧州では、利回りがマイナス圏に沈む債券が市場から消えつつある。フランス、アイルランド、オランダ、スイスの国債利回りは足元、プラス圏に浮上するか、ゼロ近辺で推移している。独連邦債10年物の利回りはなおマイナス圏にあるが、今週にはマイナス0.07%まで浮上。2019年4月以来、最もプラス圏に近づいた。こうした中、ブルームバーグ・バークレーズ・インデックスによると、今週はマイナス利回りの債券発行残高が10兆7000億ドルと、ピークをつけていた昨年12月の18兆ドルから大きく減少した。ユーロ圏に加え、スイス、日本などもマイナス金利政策を導入している。背景には、欧州中央銀行(ECB)が早期の利上げを迫られるとの読みがある。欧州全般でインフレ率は数年ぶりの水準に跳ね上がっている。経済再開に伴う需要の急増やサプライチェーン(供給網)の制約が押し上げ要因だ。