日本の教育はいま、大きく変わろうとしています。2020年に改訂された学習指導要領では思考力や判断力の育成など、より「生きる力」を身につけられるようなカリキュラムに方向性が変わりました。そんな一新された教科書で学んだ世代が初めて大学受験を迎える2024年の大学入試。それに対応するにはどのような力が必要になるのでしょうか?そこで今回は、「21世紀型教育機構」理事・石川一郎さんの著書『2024年の大学入試改革』(青春出版社)から、教育改革でこれからの子どもたちに必要とされる力について抜粋紹介します。
教育は社会の変化とともに変わる
「今の若い人は指示されたことはできるけど、自分から動こうとしないんだよね……」
筆者の同世代(1960年代生まれ)の人たちと話すとよく聞く言葉です。でも、それは今の若い人たちに限ったことではないと思います。育った時代は違っていても、これまでは誰もが似たような教育を受けてきたからです。
ただし、私たち世代が若かったころと今の若い世代とでは、働く環境がまったく違います。今はどの職場でもパソコンが一人一台用意され、事務処理的な仕事はかなり効率化されました。昔なら何日もかけてつくっていた資料が、今はエクセルやパワーポイントなどで簡単につくれます。そのため、資料をつくること自体には能力が求められなくなりました。