
『週刊ダイヤモンド』11月20日号の第1特集は、近年、難化が指摘される東西の中堅私立大学グループ、「日東駒専&産近甲龍」です。実は、現受験生の親世代が大学受験に挑んだ1990年前後も、これら「中堅私大への合格が最も厳しかった時代」(予備校幹部)。そして、2022年度入試でも志願者の増加が見込まれています。受験生のボリュームゾーンの多くが無視できない中堅私大8校について、その入り口(難易度)から出口(就職力)まで、「MARCH」や「関関同立」との比較を交えながら徹底解剖します。(ダイヤモンド編集部 宮原啓彰)
時代を超えて現受験生と親世代で重なる
日東駒専・産近甲龍のイメージ
現在、大学受験生の子どもを持つ親世代の中には、原秀則氏の漫画『冬物語』(小学館)を覚えている人も多いだろう。1987~90年に連載され、小学館漫画賞を受賞し、実写映画にもなった。
浪人生の苦悩と恋愛模様を描いた異色の作品で、フィクション作品では珍しく東京大学や「早慶(早稲田大学、慶應義塾大学)」「日東駒専(日本大学、東洋大学、駒澤大学、専修大学)」など大半の大学が実際の名称で登場する。
そのストーリーを簡単に言えば、現役生時代から日東駒専に憧れていた男性主人公が仮面浪人を含めた2浪の末に、専修大に補欠ながら合格を果たす、というものだ。
『冬物語』の連載は、現受験生の親世代、つまり団塊ジュニア世代の大学受験の時期とほぼ一致する。大学進学率は、その頃から急激な右肩上がりを始めた。
「90年前後は、日本の大学入試が最も厳しくなった時代で、それまで相対的に入りやすかった日東駒専・『産近甲龍(京都産業大学、近畿大学、甲南大学、龍谷大学)』が一気に難化した。その記憶からわが子がその大学グループを志望しても『簡単に受かるわけがない』と思う親は多い」と、河合塾教育研究開発本部の近藤治主席研究員は言う。
その親世代のときと比べて、現在の大学受験を取り巻く状況は様変わりした。