「すごい価格だとは思いますが、決して現実離れしているわけではない」と、山下さんは見る。
「今は感染者数が落ち着いてきていますが、百貨店でお買い物をされるようなお客さまは外出への自制の力が働きやすい。特に海外への渡航はままならない状態が続いていますから。お正月くらいは、いいものを召し上がって、いい1年にしたい、という気持ちがあるでしょう」(山下さん)
正月に海外旅行に出かける代わりに、自宅でおせち料理を楽しむ。そう考えれば十分に現実的な価格なのだという。
高額おせちで銀座を盛り上げたい
ちなみに、前川さんにブルガリにおせち料理を依頼した理由をたずねると、意外な答えが返ってきた。
「コロナ禍で銀座界隈のレストランも大変です。そんななか、いっしょに取り組んで銀座を盛り上げていきましょう、と思い切ってお声がけしたんです」
高島屋の山下さんも同様に語る。
「飲食業界がかなり厳しい状況ですので、経営を立て直していく意味でも、おせち料理は料亭様やレストラン様もご期待いただいている分野だと思います。製造数を去年よりも5台、10台でも多く作って、提供していこうと、ご協力いただいているお取引先様がたくさんございます」
昨年に引き続き、今年も高額おせちの予約は好調で、すでに完売した商品も少なくない。
しかし、高額おせちを増産するのは容易ではないという。