ドイツ国民は9月の選挙で、いかなる政治家、党あるいは公約をも支持することを拒んだ――そしてまさにそれこそが24日明らかにされた、連立交渉で合意に至った政権の姿と言える。欧州最大の経済国であるドイツは社会民主党(SPD)と緑の党、そして自由市場を重視する自由民主党(FDP)によって率いられることになる。彼らがどこに向かうのかは聞かない方がいい。アンゲラ・メルケル首相の後任には、中道左派SPDのトップでメルケル政権の財務相であるオラフ・ショルツ氏が就任する。2017年の選挙で大幅に議席を減らして多くの人が忘れていた党を今年の選挙で復活させたことは、ショルツ氏の成果と言ってもいい。その背景には、同氏ならメルケル時代からの劇的な変化はなく、少し変わるだけだという見方がある。同氏がまとめた連立交渉の合意はそれを裏付けるものだ。