エリートでなくても「コンサル業界」に入る方法、キャリアのプロが伝授写真はイメージです Photo:PIXTA

「プロの目から見て、どんな業界がおすすめですか」。キャリア支援の仕事をしていると、このような質問をいただくことがあります。私がビジネスリーダーやエグゼクティブのキャリア設計で一貫して伝えていることは、「今後伸びそうな業界か否かという一般論でキャリア設計を考えないほうがよい」ということです。しかし、キャリアを飛躍させるうえで有益な業界があることも確かです。そしてその中の一つが「コンサルティング業界」です。今回は、新卒・中途共に入社志望者の多いコンサル業界のキャリアの実情について解説します。(コンコードエグゼクティブグループ CEO 渡辺秀和)

コンサル業界は経営幹部に至る
「キャリアの高速道路」

 コンサルティング業界と聞くと、名門大卒のエリートが就職するところ、というイメージがあるかもしれません。実際、コンサル業界は、東大や京大など日本屈指の名門大学卒業者が志望する人気業界となっています。

 就活サイトを運営するワンキャリアが、2021年6月に発表した『2023年卒 東大・京大就活人気企業ランキングTOP30』内には、マッキンゼーや野村総合研究所、アクセンチュアをはじめ、コンサル・シンクタンクが13企業もランクインしており、その存在感を際立たせています。

 中途採用市場においてもコンサル業界の人気は右肩上がりで、総合商社やメガバンク、自動車メーカーなど、日本を代表するような大企業で活躍する多くのビジネスリーダーが、転職先として志望しています。私もこれまでビジネスリーダーの方々や大学生にコンサル業界の魅力を紹介し、キャリア設計を支援してきました。

 私がコンサル業界に注目している理由は、単に業界自体が成長していることや、年収水準が高いからではありません。注目している理由は主に2点あります。一つは、若いうちから経営課題の解決に携わることができるためやりがいがあり、厳しくも刺激的な成長機会に恵まれること。もう一つは、一般的には得難い魅力的なネクストキャリアが広がるということにあります。

 コンサル業界の出身者は「ポストコンサル」と呼ばれ、経営幹部・幹部候補の採用を行う外資系事業会社やスタートアップ企業、外資系投資銀行やPEファンドなど、多くの優良企業から引く手あまたの状態です。最近では、DX、M&A、新規事業開発などが必要となった日系企業でも、高いポジションで抜擢されています。現代の転職市場において、ポストコンサルは、経営幹部に至る「キャリアの高速道路」とも言えるほど高い評価を受けているのです。

 それだけではなく、起業家として活躍するポストコンサルも多数登場しています。コンサルタントとして働くことで培われた経営に関する見識や問題解決能力、高度なリーダーシップは、その後のキャリアを驚くほど飛躍させる力があるのです。