コロナ、資源高…複雑な情勢下で
問われる習近平の「ガバナンス力」
中国共産党史上3回目の「歴史決議」を採択した6中全会が閉幕し、中国情勢をめぐる焦点はすでに2022年に移っている。来年2月には北京冬季五輪が、秋には第20回党大会が控えている。
本連載でも度々検証してきたように、習近平総書記(以下敬称略)にもはや反対勢力や人物は存在しない。旧来型の権力闘争もない。ただ、それは習近平の権力基盤が瓦解しないことを意味しない。引き金があるとすれば、それはイシューである。
例えば、向こう3カ月の間に人権問題などがきっかけで対外関係が悪化し、北京冬季五輪が集団的ボイコットに見舞われるような事態である。そうなれば、習近平政権としての求心力や統治能力に疑問が投げかけられ、結果的に権力基盤にひびが入る。そうなれば、3期目突入が現実味を帯びている習近平の続投も危うくなるかもしれない。
従って、目下、習近平に試されているのは、複雑な国内外の情勢下で、山積する問題をいかに処理、解決していくかという統治能力(ガバナンス力)に他ならない。
第3四半期の国内総生産(GDP)が前年同期比4.9%増と低迷した経済情勢は、電力不足、恒大ショック、新型コロナウイルス、資源高、自然災害などの複合的な影響を受けている。これらの不安要素を取り除くべく、政府当局はあらゆる政策を五月雨式に打っているのが現状だ。