中国の不動産大手・中国恒大集団(エバーグランデ)のデフォルト(債務不履行)リスクが高まっている。習近平国家主席をトップとする共産党指導部が、同社を全面的に救済するかは不透明だ。公的資金を用いて救済するとなると、富裕層である民間企業の創業経営者を助けることになる。それは、習氏に対する世論の反発が増える要因になるだろう。(法政大学大学院教授 真壁昭夫)
公的資金を用いて救済すると
世論の反発が増える要因に
中国の不動産大手・中国恒大集団(エバーグランデ)のデフォルト(債務不履行)リスクが高まっている。今後、多額の利払い期日が訪れる予定で、同社はその利払いを行うことが難しいとの見方が有力だ。同社は中国を代表する不動産会社で、多額の負債を抱えることから、このまま破綻が現実のものになると、その影響は中国国内のみならず海外の金融市場にも多大な影響を及ぼすとみられる。
最も重要なポイントは、習近平政権が同社の問題をどのように収拾するかだ。結局のところ、共産党政権がエバーグランデを救済するか否か。それによって、同社の債務危機が世界経済に与える影響は大きく変わる。理論的に考えると、共産党政権が救済を実施する可能性は高い。
ただ、習近平国家主席をトップとする共産党指導部が、エバーグランデを全面的に救済するかは不透明だ。公的資金を用いて同社を救済するとなると、富裕層である民間企業の創業経営者を助けることになる。それは、習氏に対する世論の反発や批判が増える要因になるだろう。同社を巡る事態のカギは、共産党政権が握っていることになる。