憂慮すべき事態だが、どんどんモノが値上げに向かっている。パンもジャムも、しょうゆもちくわも冷凍食品も、そしてポテトチップスまで上がるとメーカー各社が発表している。理由は、ざっくり言うと、コロナ禍による複合的なコスト高ということだが、こんな状況ではますます節約意識が高まるだろう。節約のために「ポイ活」にいそしむ人は増えているが、「現金がもらえるキャンペーン」も人気だ。もらうならポイントか、現金か。どちらが節約術にふさわしいのだろうか。(消費経済ジャーナリスト 松崎のり子)
数字で見れば現金値引きの方がオトク?
最初に、よく話題となる「10%割引とポイント10%還元はどっちがオトクか」というテーマについておさらいしておこう。一見、どっちも同じに見えるが、やはり違う。まずは自分が支払う金額で考えるといいだろう。
●10%のポイント付与の場合、次回以降使える1万円分のポイントが付く。これを使うためには、もう一度買い物が必要になる
さらに還元率で計算して考えてみよう。
●ポイントの場合…次に使える1万円分のポイントを10万円で得たことになり、買い物する金額は計11万円。1万円÷11万円で約9.1%
このように、数字で見れば現金値引きの方がオトク、といわれている。
ただ、人間の心理はそう単純ではない。ポイントという新たなものを手に入れたことをトクしたと感じたり、もっと貯めてから使おうと将来のご褒美を楽しみにする人も多い。日本人はポイント好きだとよく言われるが、この理屈でいうと節約好きというより買い物好きな国民性ではないだろうか。