コロナ禍で打撃を受け、思わぬ減収になった家庭もある半面、貯蓄ゼロという家庭は減ってきている。金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和2年)」に見ると、世帯主が20歳~70歳以上の年代の全てで、前年より貯蓄ゼロ世帯の割合が減っている。コロナの影響で消費支出が減り、貯蓄に回せる資金が浮いたとも考えられるが、「そうはいっても、貯蓄へ回せる余裕はない」という声も聞こえる。ためるお金は本当にどこにもないのか。4つの視点で、もう一度洗い出してみてはどうだろう。(消費経済ジャーナリスト 松崎のり子)
「無意識のお金」を発見する
貯蓄に回すお金をひねり出そうというなら、いきなり節約に取り組む前に、まずは支払っていること自体を忘れているお金はないか、確認したほうがいい。口座からの引き落としや携帯料金の合算で払っている支払いなど、財布を通過しないお金の中に、そういう「無意識のお金」は隠れているものだ。
毎月発生しているものの他に、年に1回の引き落としもあるので、通帳(あるいはWEB通帳)で2年分を振り返ろう。カードの利用明細もオンライン化しているため、細かい使途まで確認していない人もいるのではないか。保有カード全ての利用履歴を一度見直すと、なんとなく払い続けているお金や、利用していることすら忘れていたお金が発見できるかもしれない。
家族の状況や生活スタイルが変わったせいで、あまり利用していないサービスは解約すべきだ。ステイホームの影響で契約したサブスクリプションサービス(定額課金サービス)があれば、この先も使うかどうかの棚卸しをしてもいいだろう。
恥ずかしい話だが、筆者はかつての「ガラケー」時代の着メロサービスを解約しないまま、スマートフォン(スマホ)に変えたあとも5年間払い続けていた経験がある。スマホに変えれば自動で解約になるのだと思い込んでいただけにショックだった。月額では300円程度だが、気付かなければ一生払い続けていたかもしれない。こんな笑えない落とし穴もある。
貯蓄額を増やすために、いきなり生活費を削ろうとしても長続きしない。まずは、自分が普段忘れている無意識の支払いの中から不要なものを洗い出し、それを終了することでお金を浮かす。それなら生活を大きく変えずに、貯蓄を増やせるだろう。