ユニバーサル社株主代表訴訟の舞台裏、原告側への「満額回答」は予想通り?写真はイメージです Photo:Takashi Aoyama/gettyimages

11月25日、原告である個人投資家・細羽強氏がユニバーサルエンターテインメント社の岡田元会長を訴えた訴訟の地裁判決が出た。その内容は、被告側に日本円で約20億円の支払いを命ずるという、原告側の「完勝」であった。原告側の弁護士は、この勝訴は「予想通り」だという。原告と弁護士の戦いを追った。(ジャーナリスト 横田由美子)

ユニバーサル訴訟は予想通りの
「原告側完勝」

「それでは判決を言い渡します」

 11月25日、午後1時10分。東京地方裁判所民事8部の朝倉佳秀裁判長は、株式会社ユニバーサルエンターテインメント株主代表訴訟事件の判決文を読み上げた。

1 被告は、原告補助参加人に対し、1億3600万香港ドル及び17万3562.23米国ドル並びにこれらに対する平成30年4月17日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 訴訟費用(補助参加によって生じたものを含む。)は被告の負担とする。


 既に予想されていたことではあったが、原告である個人投資家・細羽強氏の完勝だった。被告で東京都江東区に本社のあるユニバーサルエンターテインメント社(旧アルゼ、以下ユニバーサル社)創業者・岡田和生氏は、この判決により、補助参加人であるユニバーサル社に約20億円の支払義務が生じたことになる。それに利息だけで3億円近い金額が加えられている。

 私はその瞬間、後部に座っていた原告代理人の勝部環震弁護士の顔を振り返って見たが、勝部弁護士は身じろぎもせず無表情で座っていた。あまりにも無表情なので、法廷を出た途端、勝部弁護士に「勝訴ですよね?」と聞いた記者もいたぐらいだ。

 勝部弁護士は表情を変えないまま、判決原本を領収するために書記官室に向かったが、請求額が全て認定されたことに加え、あまりにも長かった今回の勝訴への道が胸に去来したのではないか。

 私は、すぐさま、広島に住む原告の細羽氏に勝訴と認定額を報告した。

「ありがとうございます。香港ドルが14.8円だと20億円が認容されたわけですか。でかいなあ」

 細羽氏も気になっていたようで、即座に返信が来た。その後、電話で話したが、やはり感無量といった様子だった。