ポーラ経営陣に迫る「株主代表訴訟」の危機、広がる遺産騒動の波紋
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化粧品大手のポーラ・オルビスホールディングス(HD)の元ナンバー2が鈴木郷史社長による書類捏造疑惑を内部告発したことで始まった遺産対象確認訴訟に関連し、HDのガバナンス欠如を指摘する個人株主がHD新旧取締役を相手取った株主代表訴訟の準備を進めていることが、ダイヤモンド編集部の取材で分かった。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)

「約20年前の書類捏造疑惑」の内部告発に端を発し、化粧品大手ポーラ・オルビスホールディングス(HD)の鈴木郷史社長は叔父(2代目社長の故鈴木常司氏)の妻千壽氏に巨額の遺産対象確認を求められ、東京地裁で2件の裁判が並行して審理中だ。

 これらの裁判に関連し、株主代表訴訟の準備がひそかに進められていることがダイヤモンド編集部の取材で分かった。原告になる予定なのは、捏造疑惑の詳細やHD元ナンバー2による告発の経緯を知る個人株主の女性だ。

ポーラ経営陣に迫る「株主代表訴訟」の危機、広がる遺産騒動の波紋
今春のポーラ・オルビスホールディングス株主総会。遺産騒動関連の発言はほとんどなかったが、水面下で事態の深刻度は増していた Photo by Masataka Tsuchimoto

 この女性が今年7月末、HD監査役に対し、鈴木社長らHD新旧取締役8人(社外取締役含む)を相手取った損害賠償請求訴訟を起こすよう求めた。株主代表訴訟を起こす際の前提となる動きだ。60日以内に監査役が応じなかった場合に備え、女性は自ら東京地裁に訴訟を起こす準備を進めている。

 元ナンバー2の内部告発を受けたHD首脳らが不適切な対応をした結果、「HDが損害を受け、ひいては株主が不利益を被った」というのが女性の主張の柱だ。訴えの詳細はこうだ。

 元ナンバー2の告発内容が真実であった場合、2019年6月末時点でHD大株主2位の鈴木社長保所有株式の大部分に当たる約4191万株は本来、約20年前に親族間で配分すべきだった遺産となる。現在係争中の遺産訴訟で千壽氏が主張するように、法定相続で遺産配分をやり直したとすると、千壽氏が約3143万株所有となり、一気にHD大株主第2位に躍り出る。

 つまり元ナンバー2の告発内容が真実ならば、実際の株主の状況とは異なる内容が、HDが10年に東証1部へ上場して以降の有価証券報告書に記載され続けてきたことになる。一般的に虚偽記載は投資家への背信行為であり、上場廃止に至る可能性がある重大な違反だ。

 そのような危機をHDにもたらすかもしれない重大な告発であるにもかかわらず、「第三者委員会を設置するなどの十分な調査がなされず、取締役の善管注意義務・忠実義務に違反した」などと、女性は指摘している。