ホットな話題になっているオンライン仮想空間「メタバース」は、投資家の間でも新たなファン層を獲得している。
ソフトバンクグループは30日、韓国のメタバースプラットフォームに1億5000万ドル(約170億円)投資すると発表した。ここ数カ月にメタバースをテーマにしたETF(上場投資信託)が続々と登場し、一部は上げ基調をたどっている。インターネットの新局面と表現するテック企業幹部もいれば、それは誇張されたビジョンであり、実現には何年もかかるとの声もある。
メタバースに特化したファンドに投資しているGMアドバイザリー・グループの投資戦略ディレクター、フランク・バラス氏は、「物理的な世界とデジタル世界が加速度的に統合されていく中で、このデジタルトランスフォーメーションから利益を得る最適な位置にある企業に投資したい」と述べる。
マーク・ザッカーバーグ氏は10月、フェイスブックの社名をメタ・プラットフォームズに変更し、メタバースの開発に数十億ドルを投入すると発表。それ以降、メタバース関連事業への投資が拡大している。
メタバースとは、個人がバーチャルコンサートなどの没入型体験に参加したり、デジタル商品を購入したり、あるいは仮想現実(VR)や拡張現実(AR)のヘッドセットを使ってアバターとして交流したりできるオンライン世界を指す。米マイクロソフトや画像処理半導体(GPU)大手のエヌビディアなどのテック企業は、メタバースのプラットフォームや、その空間を作るツールを開発する計画を掲げている。
メキシコ料理ファストフードチェーンのチポトレ・メキシカン・グリルや通信大手ベライゾン・コミュニケーションズ、スポーツ用品大手ナイキといった消費財メーカーも、メタバースの可能性に賭けている。デジタル不動産ブームも起きている。
メタバースに疑問を抱く声もあるものの、支持層はメタバースを巡る熱狂に乗じて新たなファンドを奨励している。ザッカーバーグ氏がメタへの社名変更を発表したその日、ファウント・インベストメントはメタバースETFを立ち上げた。同ファンドの純資産額はその後、800万ドル超に膨らんでいる。韓国やカナダでも、メタバースをテーマにしたETFが設定されている。
「投資家はこのテーマに胸を躍らせている」と語るのは、ベンチャーキャピタリストのマシュー・ボール氏だ。同氏は6月、投資会社ラウンドヒル・ファイナンシャルと組んで新ファンド「META ETF」を立ち上げた。META ETFの資産規模は8億ドルを超え、ザッカーバーグ氏の発表を受けて急伸した約2週間前のピーク時までにおよそ11%上昇していた。ここ数日は新型コロナの新たな変異ウイルス「オミクロン株」への懸念で市場が幅広く下落したため、高値から後退している。
META ETFに組み入れられている約40銘柄には、ビデオゲーム会社ロブロックス、インテル、エヌビディアの他、マイクロソフトやアップルなど巨大ハイテク企業も含まれる。メタバースは最終的に、世界の経済規模の10~20%を占めるようになるとボール氏はみている。
メタバースへの関心の高まりを受け、個別銘柄も跳躍している。投資の多くは、既にコロナ下で急騰を経験したハイテク大手に向かっている。メタの株価は社名変更後、オミクロン株出現で相場が急落するまでに約11%上昇していた。ロブロックスとユニティ・ソフトウェアは先月、堅調な決算を発表したことも追い風となり、2桁の上昇を遂げた。
企業向けに物理的世界のデジタル化を支援するソフトを提供するマッターポートや、VRおよびARプラットフォームを手掛けるグリンプス・グループなどは知名度が低いが、メタの発表後、株価は一段高となった。相場の急落前までにマッターポートは約80%、グリンプスは約76%それぞれ急騰。一方、ナスダックは同期間に約5%上昇にとどまり、1日の取引終了時点でほぼ横ばいとなっている。
コロンビア・マネジメント・インベストメント・アドバイザーズのシニア・リサーチアナリスト、デイブ・イーガン氏は、特に半導体業界と「つるはしとシャベル」企業、すなわちメタバースを構築するためのツールを製造する企業に強気の見方をしている。
イーガン氏によると、そうした投資は、潜在的な利益を追求するのが難しい消費者体験重視の企業への投資よりもリスクが低いという。「賭けたいと思っている。その点は疑いない」としつつ、「だが資金を捨てるようなことはしたくない」と話した。
エヌビディアの株価はメタが投資計画を発表して以降、25%余り上昇している。エヌビディアは先月、好調な四半期決算を発表。ジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)はメタバースによるハードウエアおよびソフト販売の目先の機会について説明し、「グラフィックスにとってこれまでで最大の機会の一つになるだろう」と述べた。



