11月の米雇用統計で失業率がさらに低下したことで、米連邦準備制度理事会(FRB)は12月14~15日に開催する連邦公開市場委員会(FOMC)で、テーパリング(資産買い入れの段階的縮小)の加速について議論することになりそうだ。そうなれば、インフレ抑制に向けた来年上期の利上げ開始が視野に入ってくる。
FRBは前回の連邦公開市場委員会(FOMC)で月額1200億ドル(約14兆円)の資産購入プログラムについて、テーパリングに着手することを決めた。11月と12月は購入額を150億ドルずつ縮小し、そのペースで行くと、債券買い入れは来年6月に終了する。FRBは資産購入が終わってから事実上のゼロ金利政策を解除したい意向だ。
仮に、12月の会合以降に縮小ペースを月額300億ドルに引き上げれば、テーパリングを3月に終了することが可能になり、来年前半に利上げに踏み切るための柔軟性が増す。
ジェローム・パウエル議長は今週の議会証言で「経済は極めて力強く、インフレ圧力も高まっていることから、個人的な見解として、数カ月前倒しでのテーパリング完了を検討することは適切だ」との認識を示している。
11月の雇用統計では、非農業部門就業者数(季節調整済み)が前月比21万人増えた。11月分を含めた今年の伸び平均は月間55万5000人増となっている。
就職あるいは求職している米国民の割合は11月に上昇したが、求職者数は人手需要ほどは力強いペースで回復していない。その結果、失業率は今年に入り大きく下がっており、11月は4.2%となった。10月は4.6%、1年前は6.7%だった。
求職を断念した人や、あるいは正社員になりたいがパートタイム勤務を余儀なくされている就業者など、失業および不完全雇用の双方を含む失業率は7.8%と、10月の8.3%から低下した。同指標は、新型コロナウイルス禍前の2019年終盤には6.8%まで下がっていた。
11月の米雇用統計では、10月ほど就業者数の伸びが好調でなくとも、労働市場が一段と引き締まっている兆候が示された。失業率の算出に用いられる別の調査では、11月の就業者が一段と大きく拡大している。
パウエル氏は今週の議会証言で、労働市場の急速な改善に言及した上で、月内のFOMC会合でテーパリングの加速を検討することが適切になるとの考えを示していた。
FRBはこれまで、失業保険の特別加算終了や対面授業の再開、ワクチン接種の進展を受けて、ここ数カ月に労働力がどの程度拡大するか注目してきた。
パウエル氏は11月30日の議会証言で「われわれは労働力の供給が著しく拡大すると想定していたが、そうはならなかった」と述べている。「これは問題だ。労働参加率が元の水準に戻るのにさらなる時間を要するということが明らかになりつつある。同じ経済状況にすぐに戻ることはない」
9月のFOMC後に公表されたFRB当局者の経済見通しでは、10-12月期(第4四半期)の失業率が平均4.5~5.1%になると見込まれていた。だが、11月の失業率はこの予想レンジ下限をすでに割り込んでいる。
11月の週次の平均賃金および平均時給はいずれも前年同月比4.8%増加した。
パウエル氏は議会証言で「直近のデータはインフレ圧力の高止まりを示しており、また労働力の供給拡大を伴わないまま、数多くの労働指標が急速な改善を遂げている」と述べている。



