円満解決となったのだろうか。11月12日、がん免疫療法薬「オプジーボ」の特許使用料などを巡る訴訟で、小野薬品が京都大学の本庶佑特別教授に280億円を支払うことで和解した。相良暁社長は大阪市内で緊急会見を開き、「本日の和解で今回の訴訟だけでなく、本庶先生とのすべての問題を全面解決できた。心から喜んでいる」と語った。
オプジーボは本庶氏らの研究をもとに小野が開発。14年に世界に先駆けて日本で発売した。18年には本庶氏がノーベル生理学・医学賞を受賞し、小野にとってもいまや年間1000億円を売り上げる大型品となった。
しかし、両者はカネをめぐって対立。火種となったのは小野が本庶氏に支払うオプジーボ特許の「ライセンス料」で、本庶氏が当初の契約を「不当に低い」として引き上げを要求した。10年にわたって何度も交渉を重ねたがお互いが首を縦に振ることはなく、ついに20年6月、本庶氏が約262億円を小野に請求する訴訟へと発展。ノーベル賞受賞者が原告となり、日本の産学連携のあり方も問われた異例の裁判だった。