人工妊娠中絶の是非を巡る
全米注目の裁判
女性の権利か、神への冒涜か。人工妊娠中絶の是非を巡って全米が注目する連邦最高裁判所の審理が12月1日に始まった。すでに世論を二分する新たな政治的論争に発展しており、トランプ前大統領が仕掛けた負の遺産でバイデン民主党政権を窮地に追い込もうという思惑が見え隠れしている。
最高裁が審理を始めたのは、人工妊娠中絶を厳しく制限する南部ミシシッピ州の州法の合憲性だ。最終判断は来年の7月頃と予想されているが、州法の容認だけでなく、中絶擁護派が半世紀にわたってよりどころとしてきた過去の画期的な最高裁判決までもが覆される可能性がある。