中国が高齢社会への突入で払わされる「一人っ子政策」の大きすぎるツケPhoto:PIXTA

先月、中国は昨年の出生率を発表した。その数字は前年から大幅に減少し、国内でも大きな注目を集めている。さまざまな統計からは、中国の少子高齢化が深刻な社会問題となっていることが分かる。そうした中で政府はある対策方針を発表したが、その内容に戸惑う国民が少なくない。(日中福祉プランニング代表 王 青)

中国で深刻な少子高齢化
人口の「マイナス成長」突入目前

 11月、中国は昨年(2020年)の出生率や人口構成などに関連する統計データと政府の対応策を相次いで発表した。その内容は大きな反響を呼び、ネットメディアやSNS上でさまざまな意見が飛び交っている。

 中国国家統計局が発表した「中国統計年鑑2021」によると、中国の昨年の1000人当たりの出生数は8.5人となり、前年の10.41人から大幅に減少し、初めて10を割った。

 また、昨年の出生人口は1200万人で、一昨年(2019年)より265万人少なく、約2割の減少となった。昨年の死亡人口は997.5万人で、人口自然増加率は1.45%。出生率とともに1978年以来の43年間で最低の水準だった。

 中国における近年の死亡人口は毎年5万~8万人のペースで増加しているため、多くのシンクタンクは、「2021年は死亡人口が1000万人を超え、出生人口は1000万人を割るだろう。今年はわが国が人口のマイナス成長に突入する年となりそうだ」と予測している。