新型コロナウイルスの感染拡大後、密を避けられる移動手段としてバイクが見直され、販売台数が増えている。だが、20年間で半減した国内二輪需要が底を打ったとみる関係者は少ない。重荷になっているのがガラパゴスな日本の運転免許制度だ。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)
メーカーの海外市場シフトで
国内人気の400cc二輪車が不足、高騰
国内のバイク市場は1982年をピークに減少を続けてきた。2000年以降の20年間で、販売台数は55%も減少している(日本自動車工業会と全国軽自動車協会連合会<全軽自協>統計)。
ところが足元で「転換点」が訪れている。コロナ禍で、密にならない通勤手段やレジャーとして見直され、販売台数が増加に転じているのだ。
けん引役となっているのが排気量250cc以上の中型・大型バイクだ。1~10月の国内販売台数の推移を見ると、コロナの感染が世界的に広がり始めた20年に前年同水準で踏みとどまり、21年は前年同期比で23%増と急激に伸びた(全軽自協統計)。
50cc以下の原動機付自転車などを含むバイク全体の販売台数も、21年は前年を1割超上回りそうだ。
実際に、予約から納車まで半年以上かかる人気車も珍しくない。バイクの免許を取得する教習所も予約を取りにくい状況になるなど、業界全体が活況を呈している(バイクの品薄には、半導体をはじめとする部品不足も一部影響しているが、本稿では立ち入らない)。
ところが、コロナ収束後も好調な販売が続くとみる業界関係者は少ない。その要因はいくつかあるが、記者は日本のガラパゴスな運転免許制度が需要と供給のミスマッチを生んでいることが、国内二輪需要拡大の最大の阻害要因であると考えている。
どういうことなのか説明しよう。