8月19日はバイクの日。ところで今、2輪業界をザワつかせている1台のニューモデルがある。9月10日から発売が始まるカワサキの「ニンジャ ZX-25R」(以下、ZX-25R)がそれだ。車名につく数字から想像される通り250ccクラスのスポーツバイクなのだが、エンジン形式が並列4気筒であることに話題が集まっている。(モータージャーナリスト 伊丹孝裕)
250cc4気筒が
消滅した2つの要因
80年代のバイクブームを知る世代なら、どこに話題の要素があるのか不思議に思うだろう。「ニーゴーマルチ」や「4発クォーター」とも呼ばれたその形式は、ごく当たり前に存在していたからだ。レーサーレプリカのエントリーモデルとして欠かせないパワーユニットであり、当時の国内4メーカーは例外なくラインナップしていた。
しかしながら、それもすっかり昔話である。隆盛を誇った250cc4気筒は90年代に入ると急速に勢いを失い、細々と生き永らえていたモデルも21世紀を迎えることなく消滅していった。
衰退の直接的な要因は2つある。ひとつは250ccクラスの最高出力が45psから40psに制限された馬力規制の施行(1992年)だ。これは増加し続ける事故件数に歯止めをかけようと運輸省(現国土交通省)が主導したもので、スペックありきのレーサーレプリカの魅力が損なわれることになった。