フォロワー数に意味はあるのか？「だから何なの」と思えばいい

他人と物理的・心理的な距離が広がり、「1億総孤独」といえる現代。他者に依存せず、「個」として自立するには、どうすればいいのでしょうか。寺田倉庫の経営改革などを果たし、NHK「SWITCHインタビュー達人達」でコシノジュンコ氏と対談、著書『ぜんぶ、すてれば』は4万部を超えるベストセラーとなった「77歳・伝説の経営者」、中野善壽氏は、「孤独を生きることで、自分の感性を信じ、磨き抜くことができる」と語ります。中野氏は孤児同然の幼少期を過ごし、孤独のなかを生きてきました。しかし、そこで自分の感性を磨き、「個」として自立していきます。社会に出てからは「孤独を武器」に、伊勢丹・鈴屋での新規事業展開や、台湾企業の経営者として数々の実績をあげてきたのです。本連載では、中野氏の新刊『孤独からはじめよう』に掲載されている「他人に依存せず、自立して、素の自分をさらけ出して生きる」51の人生哲学から抜粋。「一人で生きるのが当たり前の時代」に肩肘を貼らず、自分に期待し、颯爽と人生を楽しむ考え方を紹介します。

肩書や数字に、惑わされない

現代は孤立を感じやすい時代なのかもしれません。

人はインターネットでつながりやすくなり、無数の他人の日常が大量に情報として流れてきます。

見たい、見たくないによらず、勝手に目や耳に入ってくるのです。

僕は余計なものに惑わされたくないから、スマートフォンも捨てたし、漫然とネットを眺める時間に貴重な人生を費やすこともしません。

僕のような極端なことができる人は少ないかもしれませんが、孤立や虚無感をうまくやり過ごすための術を、誰もが身につけるべきなのでしょう。

肩書きや年収、財産など、数値で比較できる持ち物を、他人と比べ合って一喜一憂。

そんなものはすぐに移ろうもので、なんの参考にもならないのになぁと、僕は疑問を感じるのだけれど。

自分のほうが上だと偉そうに振る舞うのも滑稽だし、自分のほうが下だからと媚びへつらうのもカッコ悪い。

僕だったら、多分、こう言う。

「だから何なの」

最近は、数字の指標として「フォロワー」の数というのもあるらしい。

インターネットでの発信が何人に届くかの人数。

それにどれほどの意味があるのか。

本当に、人の心が響き合うとはどういうことなのか？

惑わされることなく、問い続けたいと思います。

数字を測るのは簡単だから、すぐに目を奪われてしまうけれど、そこにとらわれていては、「個」はあっという間に見失われてしまう。

顔の見えない百万人の気まぐれな賛同を得ることよりも、まず目の前の大切な一人の「個」と心を通わせることのほうが、ずっと大切ではないかと僕は思っています。