コロナ禍からの企業業績の回復は、勝ち組と負け組の格差が拡大して「K字型」に引き裂かれていくという二極化の議論が強まっている。そこで、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回はキーエンス、ファナックなどの「製造用機器・システム」業界5社について解説する。(ダイヤモンド編集部 笠原里穂)
キーエンス、ファナックは
前年同期比3~4割超の大幅増収
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の製造用機器・システム業界5社。対象期間は21年3~6月の直近四半期(安川電機は21年6~8月期、その他4社は21年7~9月期)としている。
各社の増収率は以下の通りだった。
・キーエンス
増収率:43.9%(四半期の売上高1853億円)
・ファナック
増収率:37.2%(四半期の売上高1662億円)
・マキタ
増収率:14.6%(四半期の売上収益1789億円)
・ダイフク
増収率:6.2%(四半期の売上高1232億円)
・安川電機
増収率:25.9%(四半期の売上収益1209億円)
※ファナック、ダイフクは収益認識に関する会計方針の変更を行っているが、各社の開示方法に準じて、前年同期の売上高と増収率には同変更を遡及適応していない。
製造用機器・システム業界の5社はいずれも前年同期比増収となった。5社中4社が2桁増収を記録している。
特に、3~4割超の大幅増収となったキーエンス、ファナックは、コロナ前と比較しても大きく売り上げを伸ばしていた。増収率はどのように変化していたのか。また増収につながった要因は何だったのか。次ページ以降でデータを交えて、詳しく解説する。