日本発のウェブトゥーン作品で
世界的ヒット作は生まれるか

 日本でも着実にユーザーを獲得しているウェブトゥーン。漫画家の東村アキコ氏がピッコマで連載した『私のことを憶えていますか』など、日本人によるウェブトゥーン作品も多く登場している。

「日本発のウェブトゥーンで国際的なヒット作がコンスタントに出るには、現実的におそらくあと10年はかかるでしょう。韓国のウェブトゥーンは90年代から始まり、恒常的にヒット作を生むエコシステムで国際的なビジネスの土壌づくりに20年はかかった。日本産ウェブトゥーンも、長期的な時間軸を持って取り組む事業者以外は絶対に勝てません。ただ今後、日本人によるウェブトゥーン作品自体が増加していくはずです」

 また、日本の漫画アプリでは恋愛系やファンタジーものの韓国作品が人気となっているが、韓国国内では貧困や競争社会の現実を描いた社会派作品も高い支持を得ているそうだ。

「韓国映画やドラマ、文学に親しんでいる人なら、社会派要素のあるエンタメの傑作がパッと思い浮かぶはず。ウェブトゥーンにも本当はそういう作品がたくさんあります。しかし、日本の読者はまだ若いこともあってか、そういう要素がそれほど強くないファンタジーやアクション、恋愛ものの人気が高くなりがちです。ただ、今後ユーザーが年を重ねるとともに、読まれるジャンルも多様化するのではないでしょうか」

 韓国発のウェブトゥーン作品の流入は、日本の漫画アプリ市場の拡大を大きく支えている。今後も作品やビジネス展開の成長は止まらないだろう。