20年以上にわたり、のべ6000件以上の家を片づけてきた「片づけのプロ」、seaさん。家事代行マッチングサービス「タスカジ」では「予約が取れない家政婦」と呼ばれ、この冬「セブンルール」にも出演するなど、人気が急上昇している。
そんなseaさんの片づけ術の集大成が、新刊『家じゅうの「めんどくさい」をなくす。ーーいちばんシンプルな「片づけ」のルール』。プロ歴20年以上のseaさんは、家が散らかる原因はすべて「めんどくさい」が放置された結果という結論に達した。その「めんどくさい」をなくせば、どんな家でも片づいて、しかもリバウンドしない。
なぜ、そんなシンプルな方法でうまくいくのか?
著者インタビュー3回目は、散らかり放題の家を一瞬で片づける裏ワザについてseaさんにうかがった。(取材・構成/樺山美夏、撮影/疋田千里)
すぐに片づく裏ワザ①
ゴミ箱を増やすだけでモノが散らからなくなる
――『家じゅうの「めんどくさい」をなくす』を読んで驚いたのが「ゴミ箱を増やした瞬間、家が散らからなくなる」という話です。私の家にはテーブルやソファの横、洗面所、子どものスペースにもゴミ箱を置いてあるのですが、ほかの家はそうなっていないんですか?
sea:それはかなり片づけ上手なほうだと思いますよ! ほとんどの家は、ゴミ箱が圧倒的に足りていません。ソファ回りや洗面所で出たゴミを、わざわざキッチンに捨てる仕組みになっている家はけっこう多いです。
――でも、それだといちいち捨てるのがめんどうですよね。
sea:そうなんです。だから、ゴミ箱が足りないと家のあちこちにゴミが置かれたままになります。それなのにゴミ箱がないのが当たり前になっていて、増やす発想にいたらないのです。
ですから私は、散らかったモノを減らす一番手軽な方法として、ゴミ箱を増やすことをよく提案しています。散らかり放題の部屋を見た目ぱっときれいにしたいなら、足りないゴミ箱を買い足してみてください。
ゴミ箱が目の前にあるだけで、何も考えることなく家族がその中にゴミを捨てるようになるので、あっけないほど散らかっていたゴミがなくなるのです。「家じゅうのめんどくさいをなくす」って、実はこんなに簡単なことから始められるんです。リビングなら、郵便物や不要になったA4の書類もポンと捨てられる大きさのものがおすすめですよ。
すぐに片づく裏ワザ②
在宅ワークの文房具はトレイに平置きする
――テレワークが浸透した影響もあって、家の中が家族それぞれのモノでごっちゃになって散らかっている、という声を耳にします。毎日の作業でどうしても散らかってしまうと思うのですが、どうすればパッと片づきますか?
sea:在宅ワークをしていると、ダイニングテーブルに仕事のモノも家族のモノもごちゃごちゃ集まってしまい、カオスになりがちです。仕事の資料の上に子どものおやつがあったり、ボールペンやメモや郵便物がバラバラ散らばっていたり。ダイニングテーブルって、放っておくとどんどんモノが集まってくる場所なんです。
とくに、文房具は小さくてアイテム数が多いので厄介です。ペン立てにまとめても、ボールペンやサインペンでぎゅうぎゅうになり、底の方に付箋やクリップが沈んで使い勝手はいまいちです。
――わかります! 汚れた付箋が底の方にたまっているとうんざりします。
sea:文房具って、実は毎日使うアイテムは少ないんですよ。ペンやはさみなど、頻繁に使うのは数点だけ。他のアイテムは引き出しなどにしまって使うときだけ出すようにして、よく使う文房具はトレイに平置きするのがおすすめです。平置きなら、底の方に消しゴムや付箋が沈み込むことがなく、使いたいアイテムが一目瞭然ですから。
実際にトレイをキッチンカウンターに設置した家で、2週間後くらいに「その後どうですか?」と聞いたら、「トレイにあるものだけ使って、すぐに戻せるようになったので、テーブルが散らからなくなりました!」と喜んでいらっしゃいました。
――大きいペン立ては、便利そうで要注意なアイテムなんですね。私は文房具をきれいに片づけると、ものすごくスッキリしてやる気が出るので、この裏ワザは仕事の効率も上げてくれそうです。
すぐに片づく裏ワザ③
細かくてごちゃつくモノは「ジッパー付き保存袋」にまとめる
――私の場合、家族のスマホ、タブレット、家電類のコードやケーブルがごちゃごちゃするのが気になってなんとかしたいのですが、何かいい収納方法はありますか?
sea:『家じゅうの「めんどくさい」をなくす』でも書いたように、小物類は「ジッパー付き保存袋」にまとめるのがおすすめです。実は、ジッパー付き保存袋は収納用品としてかなり優秀です。透明で中身が見えますし、引き出しの中に立てて収納できるので、場所をとらず見やすいんです。
スマホやタブレットなど、充電関係のコードやケーブルは大きいサイズのジッパー付き保存袋に入れるとスッキリ見やすくなります。コード類のような小さくて細かいモノは寝かせると場所をとるので、袋に入れて立てて収納するとコンパクトに整理できます。
ジッパー付き保存袋はその他にも、洗面台に置いたままのコスメの試供品や小さなクリーム類、ダイニングに散らばっているメモパッド、付箋などをまとめるのにとても便利です。保存袋は大きめのサイズを選んだほうが、こまごまわける負担が減るので失敗がありません。
――わざわざ専用の収納用品を買わなくてもいいんですね。ジッパー付き保存袋は100均などで安く買えるので、すぐに実践できますね。
sea:ほんのちょっとしたことで、生活の質はぐんと上がります。新刊では、他にもたくさんのワザを紹介しています。年末の大掃除シーズンに向けて、みなさまのご参考になれば嬉しいです。
【大好評連載】
第1回 6000軒を片づけた家政婦が教える「片づけられない人」の問題点
第2回 6000軒片づけて分かった「捨てられない人」でも必ず片づく方法
大学卒業後に始めた家事代行サービスの仕事にどっぷりはまり、20年以上にわたって個人宅の片づけや掃除を行ってきた。
いままでに片づけた家は6000軒以上。家事代行マッチングサービス「タスカジ」では「seaさんが片づけてくれると、なぜか家族の仲までよくなる」と口コミで評判になり、「予約の取れない家政婦」と呼ばれるようになった。
メディア出演や執筆、片づけ講座の企画・開発など幅広く活動を行う。著書に『タスカジseaさんの「リセット5分」の収納術』(主婦と生活社)がある。新刊『家じゅうの「めんどくさい」をなくす。』を上梓した。