一瞬で心をつかみ意見を通す対話力Photo:PIXTA

博報堂フェローで、政治・行政・大手企業のスピーチライターでもあるひきたよしあき氏の新著『一瞬で心をつかみ意見を通す対話力』からの抜粋で、自分の思いを言葉にし、相手の心に届けるための対話のメソッドを伝授する。今回は、人の話を聴く力、ビジネスで役立つ「傾聴」のコツをレクチャー。

相手の話を
丸暗記する気持ちで傾聴する

 人の話を聴く。その凄さを見せつけられたのは、学生時代にNHKでアルバイトをしているときでした。報道ディレクターの人と局内の食堂で昼食を食べているとき、その人がテレビから流れてくるニュースを寸分違わず口にしたのです。

 初めはこの人がニュース原稿を書いたのかと思いましたが、違いました。

 録音機材が手近にない時代ですから、記者たちは取材相手の言葉を簡単なメモ程度で暗記する必要がありました。そのディレクターは、聞いた話を自分で再生することを「再話」と言い、「丸暗記する勢いで聴く」ことの大切さを私に教えてくれたのです。

 あなたもぜひ、相手の話を「丸暗記する気持ちで聴く」ことにチャレンジしてください。無論、全部覚えられなくても大丈夫です。しかし、「暗記するくらいの気持ちで聴くぞ」という前のめりの迫力は、必ず相手に伝わります。「ずいぶん、真剣に私の話を聴く人だなぁ」と好感を持ってもらえるはずです。