アンガーマネジメントを身につけるためには、(1)技術を学ぶ、(2)失敗を重ねながら練習を続ける、(3)さらに意識的に練習を続ける、(4)他のことをしながらでもできるようになる、という段階を経る。とにかく繰り返し練習しよう。

◆とっさの怒りを切り抜ける対症療法
◇怒りとアレルギーの共通点

 怒りとアレルギーは似ている。花粉に反応する人とそうでない人がいるように、ある出来事に遭遇したときの反応も人によって異なるものだ。

 アレルギー症状を軽くするには体質改善が必要だとされているが、体質改善は時間がかかるうえ、効果が必ず出るとは限らない。だから薬を飲むなど、即効性のある対症療法を優先することがすすめられる。

 アンガーマネジメントにおける対症療法とは「思わずカッときてしまったときに怒りを抑えること」であり、体質改善とは「ムダに怒らなくなる考え方を身につけること」である。ここでは対症療法として、「今」「この場」の怒りを鎮める方法を紹介する。

◇6秒間だけ待つ

 誰しも、イライラする出来事に遭遇することがある。そんなときに一番やってはいけないのは、反射的に怒りを表現することだ。自分も相手もヒートアップさせ、取り返しのつかない事態を招くことになりかねない。

 イラッとしたら、6秒間だけ待ってみよう。人は怒りが生まれてから6秒あれば理性が働くといわれているからだ。「1、2、3……」とゆっくり数えている間に、少しずつ気持ちが落ち着き、大きな失敗をせずに済むだろう。深呼吸をしたり、心を無にして思考を止めたりするのも効果的だ。

◇「今、この場所」に意識を向ける

 私たちの意識は、時間や場所を越えてどこにでも行くことができる。だから、過去の出来事を思い出し、急に怒りがわいてくることもあるだろう。そんなときは、怒りと関係のないところに意識を向けるのがよい。