人間関係でイライラしない!上手に怒りを伝えるアンガーマネジメント超入門怒りは人間が生まれつき持っている感情であるため、怒りを感じること自体に罪悪感を持つ必要はない。「怒らないこと」ではなく、「怒りと適切に付き合って、コントロール下におくこと」こそが重要(写真はイメージです) Photo:PIXTA

レビュー

「怒り」への対処は難しい。アンガーマネジメントに関する記事や書籍を多く見かけるのは、この感情を扱うことの難しさによると想像する。「喜怒哀楽」というように、怒りは生来人間に備わっている感情である。しかし多くの場合、「喜び」「哀しみ」「楽しみ」のマネジメントが説かれることはなく、「怒り」のみ必要とされるのは、怒っている本人と周囲の人たちにとってマイナスの影響が大きいからだろう。感情は伝染するというが、「誰かが怒りを爆発させて、その場の雰囲気が悪くなった」という経験がある人も多いはずだ。

『怒りが消える心のトレーニング 図解アンガーマネジメント超入門』『怒りが消える心のトレーニング 図解アンガーマネジメント超入門』 安藤俊介著  ディスカヴァー・トゥエンティワン刊  1430円(税込)

 本書『怒りが消える心のトレーニング 図解アンガーマネジメント超入門』は、日本におけるアンガーマネジメントの第一人者である安藤俊介氏による「怒りをコントロールする方法」が詰まった一冊である。著者によれば、「アンガーマネジメント」とは「怒らないこと」ではなく、「怒りをコントロールすること」だ。本書には、とっさの怒りへの対処法や怒らない自分をつくる習慣、ムダに怒らない人になるための心の持ち方など、今すぐ使える考え方やメソッドが多数紹介されている。「自分は怒りっぽい性格だから」となかばあきらめている人もいるかもしれないが、そんな人こそ本書を手に取ってほしい。アンガーマネジメントは「技術」であり、自転車に乗ることと同じように、反復練習で誰もが習得できると著者はいう。

 怒られる人も辛いが、怒っている本人も不快な気持ちになるし、後悔することも多いものだ。怒りに支配されることのない人生を送りたいなら、本書は心強い伴走者となってくれるはずだ。(矢羽野晶子)