バイデン米大統領、来年に向け難題が激増Photo:Drew Angerer/gettyimages

【ワシントン】ジョー・バイデン米大統領は就任後の1年間を、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)による打撃からの回復と、一連の優先法案で主要な成果を達成する1年にしたいとの決意を示していた。しかし彼はホリデーシーズンに入った現在、さまざまな障害に直面している。その障害は彼の政治的立場にダメージを与え、同時に、近づきつつある中間選挙に関する焦りと不安を多くの民主党議員にもたらしている。

 今年夏の新型コロナ・デルタ株の流行に続く新しい変異株「オミクロン株」の猛威は、クリスマス休暇を目前にした米国各地で感染急増を引き起こした。第1弾のワクチン接種を完了した者や、ブースター接種を終えた者の間でさえ、オミクロン株の感染が広がっている。多くの米国人は検査を受けることが困難で、バイデン政権が約束した計5億回分の検査キットの家庭への配付は、今後数週間は実現しない。バイデン大統領は今年初夏の段階では、ウイルス禍からの脱却を実現できると期待していたが、パンデミックの再燃でその期待は見事に裏切られた。

 バイデン大統領は就任後これまでに、大幅な経済成長を目にしてきた。就任後1年間で約600万人の雇用が創出され(これは大統領の1年目の成果としては過去最大)、失業率は2020年にパンデミックによって上昇した後、4.2%まで低下した。しかしインフレ率は11月に約40年ぶりの高水準となる6.8%に上昇した。そして米国民は、ガソリン価格の急上昇への対処を迫られ、秋には日用品の入手を一段と困難にしたサプライチェーン(供給網)の障害にも直面した。