「妙な自信」をもつ若者から学ぶべきこととは？

他人と物理的・心理的な距離が広がり、「1億総孤独」といえる現代。他者に依存せず、「個」として自立するには、どうすればいいのでしょうか。寺田倉庫の経営改革などを果たし、NHK「SWITCHインタビュー達人達」でコシノジュンコ氏と対談し話題となった「77歳・伝説の経営者」、中野善壽氏は、「孤独を生きることで、自分の感性を信じ、磨き抜くことができる」と語ります。中野氏は孤児同然の幼少期を過ごし、孤独のなかを生きてきました。しかし、そこで自分の感性を磨き、「個」として自立していきます。社会に出てからは「孤独を武器」に、伊勢丹・鈴屋での新規事業展開や、台湾企業の経営者として数々の実績をあげてきたのです。本連載では、中野氏の新刊『孤独からはじめよう』に掲載されている「他人に依存せず、自立して、素の自分をさらけ出して生きる」51の人生哲学から抜粋。「一人で生きるのが当たり前の時代」に肩肘を貼らず、自分に期待し、颯爽と人生を楽しむ考え方を紹介します。

感性的な根拠があればいい

僕は若い人が好きです。

全員がそうではないけれど、若い人には、明確な「個」を持っている人が多く、希望が持てます。

若いと、変に世の中に慣れていない分、自分の感性を損なわずにいられるからかもしれません。

僕の個性的なヘアスタイルを担当してくれている美容師さんも、まだ若いけれど自分をしっかり持っているタイプ。

気が強くて、ちょっと口調が荒いこともあるけれど、腕は確か。

「中野さんはこういう髪型が似合いますよ」と、半分刈り上げたアシンメトリー（左右非対称）なスタイルを提案して、僕は面白いから受け入れました。

自分の立ち位置を明確にした、ぶれない彼女には、ファンがたくさんいるようです。

彼女が、妙な自信を持っているのが面白い。

若い人特有の「妙な自信」というのが、僕はすごくいいと思う。

根拠がないようで、実はあるのではないか。

経験にはたしかに基づかないけれど、“感性的な根拠”がきっとあるのではないか。

説明不能だけれども、感性がつかみとっている確信があるのでしょう。

歳を取ると、知識がついて説明する力はあっても、感性が鈍くなる。

若い人たちが直感的に取る行動というものは、それだけで信じて従う価値があると僕は思うわけです。