技術革新と製造業の拠点として長く時代の最先端を走ってきたドイツが今、先進国の多くに先んじて「人口動態の崖」に向かっている。欧州最大の経済国ドイツが人口構成の変化で勢いをそがれ、年金制度に圧力が掛かると共に、今後何年にもわたってインフレが上昇する恐れがある。エコノミストの予測では、ドイツの労働人口は早ければ2023年にピークを迎え、30年までに最大500万人減少する可能性がある。新型コロナウイルス感染拡大はそうした傾向に拍車を掛けているが、労働力不足の主因は、差し迫ったベビーブーマーたちの退職だとエコノミストは指摘する。プールやヒーティングシステムを製造するヤニッケ(Jänicke)社では、17人の従業員のうち最大5人が数年以内に退職する予定だ。ベルリンの南西にある同社では、入社後3年の研修が必要なため、既に新たな人材を募集し始めた。しかし、それは困難を極めている。