トルコの通貨リラへの資金還流計画は、目下のリラ乱高下を引き起こしている個人貯蓄者たちへの巧みなアピールである。しかし、これがうまくいかなければ、トルコの銀行システム全体が揺らぎかねない。リラは今年に入り、対ドルでなお40%安の水準にあるが、レジェプ・タイップ・エルドアン大統領が20日、リラ建て預金者に為替損失を補償すると発表したことを受け、1週間前に比べ20%近く上昇している。エルドアン大統領は中銀の利上げを繰り返し拒否している。新措置は同じ効果を得るための裏技であり、借り手ではなく、財務省がそのツケを払うことになる。リラのボラティリティー(変動性)も急上昇している。投資家は、この措置が十分な資金を動かす可能性を見極めようとしているのかもしれない。ボストンカレッジ(マサチューセッツ州)のカン・エルビル教授(経済学)は、「これに乗るトルコ人が大勢いるか、人々は様子見をしている」と語る。エルドアン氏は外国勢に対抗する姿勢を見せることで、支持基盤を固めようとしているのかもしれないとの見立てだ。
トルコのリラ救済策、危険な「はったり」
国内銀行が政府と中銀の債権者、預金者の為替損失穴埋め措置の行方は
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