退職通告の作法(2)
就業規則上の退職通告日よりも数日以上前

 転職が確実になったら、退職希望日を決める必要がある。退職希望日は、次の会社への入社予定日の前日にすると諸々の手続きがスムーズだ。通常は、有給休暇を何日か消化して、手続き上の退職日の何日か前を最終出社日にすることが多い。この辺の日程は、新しい勤務先と話し合って前後に余裕を持って決められると具合がいい。

 会社や上司のハンドリングによっては、手続き上退職が認められるまでに日数を要する場合があるので、退職通告が「1カ月前」というルールなら、1カ月と数日前くらいに通告するといい。

 もちろん、自分が複雑な仕事を抱えた管理職等で、引き継ぎに時間がかかる場合は、2カ月前、3カ月前に通告が必要な場合もあるだろうが、大事なことは「次の職場にいいコンディションで移ること」だ。退職日がなかなか決まらなかったり、退職の直前まで引き継ぎ作業に追われたりする、といった状態は避けたい。

退職通告の作法(3)
できれば金曜日であること

 退職の通告は金曜日がいい理由は、慰留の説得が長引いたときに、間に休日が入る方がいいからだ。

 辞めるという側にあっても、慰留の説得やなぜ辞めるのかの話し合いについては、誠意を持って付き合うのが礼儀だという事情もある。スケジュールには少々余裕を持たせる方がいい。

「辞めます」と言うと多くの場合、まずは慰留される。会社の側は、「止められるか、止められないか」「辞めてもらってもいいか、何としても引き留めたいか」等を考える時間が欲しい。誰かの責任問題になる場合もあるので無事な着地(もっともらしい理由など)を考える時間が欲しい場合もある。

 典型的には、金曜日の午後遅くくらいに上司に退職の意思を伝えて、夕方に慰留その他の話し合いがあり、その場では話が決着しない状況が考えられる。こうしたときに、「自分にとって大事な問題でもあるので、土日によく考えてみます」と話を引き取ると、スムーズに帰宅できることが多い。

 土日の間に、上司はいくつかの点について考えるはずだ。まず、辞めたいと言っている社員が重要な社員の場合、人事部や上司の上司筋に情報を伝える必要があるかもしれない。また、引き留めが可能なのかどうかも判断したいし、不可能な場合の理由も用意したい。加えて、辞める社員の後任の人繰りを考えなければならない。