中国経済は現在、不調だが、一つ好調なのが、外国からの投資だ。これを維持することで、将来的な不動産セクターの成長減速による低迷を補えるかもしれない。外国直接投資(FDI)、特に製造業への投資には、技術などの付随的なメリットが多く、しばしば輸出競争力と密接に関係している。見出しに踊る数字は、印象的だ。コロナ禍で世界のほとんどの国では慎重なペースで回復が進む中、今年1~11月の中国へのFDIは1570億ドル(約17兆900億円)となった。2020年と19年の同時期に比べ、それぞれ21%と26%の増加だ。中国国営メディアによると、ハイテクセクターへの投資は2020年から19%増加した。しかし、もう少し掘り下げてみると、いくつかの興味深いパターンが浮かび上がってくる。中国政府はこの1年、外資が大きく関与するハイテクセクターや急成長しているサービスセクターを厳しく取り締まってきた。また、サービスやソフトウエアではなく、製造でハイテク大国になる意向を強く示唆している。しかし、同国へのFDIは逆のパターンを示している。サービス業への新規投資が多く、製造業への流入は少ない。2021年1~10月のサービス業へのFDIは前年同期比26%増で全体の80%を占めるのに対し、製造業へのFDIは2019年以降、低調に推移している。格付け会社フィッチ・レーティングスはこう指摘する。