一部の従来型自動車メーカーが電気自動車(EV)メーカーの米テスラやリビアンと資本獲得で競い合うには、注目資産の分割が格好の手法かもしれない。しかし、大半のメーカーにとって状況はもっと複雑である。フォルクスワーゲン(VW)やゼネラル・モーターズ(GM)のような企業の子会社が、同様の事業を手掛ける上場他社に匹敵する評価を受ければ、親会社はどれほどの価値になるだろうかと、米金融街は飽くなき想像を巡らせている。ロイターとドイツ紙ハンデルスブラットは今月、VWが高収益スポーツカーブランド、ポルシェの新規株式公開(IPO)を引き続き検討していると報じ、VWに期待が集中した。証券会社バーンスタインが指摘するように、ポルシェの利益が独立上場企業のフェラーリと同じマルチプルに評価されたとすれば、ポルシェの評価額は親会社をはるかに上回ることになる。ポルシェはEVでも有望な足掛かりを築いている。EV「ポルシェ・タイカン」は今年1-9月、同ブランドの従来型ガソリンエンジン車「911」を上回る販売台数を記録した。VW株は、IPOを巡る報道があった日に約9%上昇した。