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1月1日に放送されたTBS系バラエティー番組に出演したシェフが、番組内でのコメントをきっかけに誹謗(ひぼう)中傷にさらされる事態となっている。テレビ番組をきっかけとした誹謗中傷が、また今年も繰り返されてしまうのか。テレビの演出とネットの拡散力が、「攻撃してもよい対象」という幻想を作り出してしまっている。(フリーライター 鎌田和歌)

書き込む人の問題と、出演者のリスクが高すぎるというテレビの問題

 今年も年始早々、テレビ番組をきっかけとした炎上騒ぎが起こっている。1月1日に放送されたTBS系バラエティー番組「ジョブチューン」に出演した一人の男性シェフが、ファミリーマートの「和風ツナマヨネーズ」おにぎりを評価する際、その評価が辛辣だったというのがその理由だ。

 翌日以降、この場面が波紋を呼んでいることを伝えるネットニュースが流れると、シェフへの批判的なコメントが多数書き込まれ、「ジョブチューン」の公式ツイッターアカウントが「この度の番組出演者、番組とは無関係のお店に対してのSNSをはじめとする誹謗・中傷、迷惑行為はお止め頂きたくお願い申し上げます」と呼びかける事態となった。

 出演したシェフの店舗のレビューやSNSが荒らされ、さらには、このシェフと似た名前の料理人にまでネットユーザーから誹謗中傷が殺到した。

 この件で考えたいのは、テレビ番組と炎上の関係だ。

 具体的には2点。一つは、ひとたびSNSなどで話題になると、すぐさまネットニュースやまとめサイトで経緯やSNS上での反応がまとめられ炎上に拍車がかかるが、放送済みの映像を確認して書き込む人は少数派だと考えられる点。もう一つは、多かれ少なかれ存在するであろうテレビ番組の「演出」や「編集」によって、出演者に対するリスクが高すぎる時代となっていることである。