時として、鏡に映る物体は、見た目よりも遠くにある。米連邦準備制度理事会(FRB)は2004年、政策決定会合の議事要旨の公表を早めることを決めた。次の会合終了まで待つのではなく、わずか3週間後に公表することにしたのだ。そうすれば、市場が経済情勢や金利動向を読み解くのに役立つと考えたからである。確かにそうかもしれないが、新型コロナウイルス感染の広がる時代には、3週間はとても長い時間に感じられる。5日に公表された12月の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨は、その最たる例だ。先月半ばに開かれた会合では、インフレと労働市場のひっ迫がどの程度続くか、そしてそれがFRBに「参加者が予想していたよりも早期、あるいは速いペースで」の利上げを迫る可能性があるかという点に、議論がほぼ集中していた。変異ウイルス「オミクロン株」に対して投資家が一段と神経質になっている中、米国株は大きく下落した。