現在の形態のインターネットは、データの収集に依存しており、まるで監視社会だと批判する向きもある。だが、それはメタバースに移行しても変わらないのではないか。テクノロジー企業や研究者は、こう疑問を抱き始めている。フェイスブックの「メタ・プラットフォームズ」への社名変更は、ゲームや業務ソフトウエアなどのサービスを手掛ける企業が、次世代サイバースペースであるメタバースにますます投資するようになるとのメッセージが込められていた。ユーザーがデジタルのアバター(分身)を使用して仕事をしたり、遊んだり、買い物をしたりする緩やかにつながったコミュニティーを創造する、というのが彼らの宣伝文句だ。メタバースの基盤となるインフラ――まずは仮想現実(VR)メガネと拡張現実(AR)ソフトウエア――は、架空の世界やデジタルな職場、バーチャルな診察室などで、ユーザーが周囲の環境とどうやり取りするかを示す大量のデータに依存することになる。こう指摘するのは、没入型テクノロジーの倫理的開発を提唱する非営利団体「XRセーフティーイニシアチブ(XRSI)」の創設者、カビヤ・バールマン氏だ。
メタバースで無意識の思考も露呈? 深まる懸念
プライバシーやセキュリティーに関する現在の考え方が覆される可能性も
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