米国をはじめとする北大西洋条約機構(NATO)加盟国は、ロシアに対抗する前線を再構築するため、数千人規模の部隊を配備し、兵器に多額を投資してきた。だがロシア政府は、NATOの手が届かないギリギリの地点に新たな前線を開くことで、そうした戦略をすり抜けている。ロシア当局者は12日にブリュッセルのNATO本部を訪問し、抗議を申し入れる予定だ。30カ国から成るNATOはこうした中、主張を強めるロシアにいかに対抗すべきか頭を悩ませている。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、NATOと正面から対決するのではなく、ウクライナやシリア、リビアなど周辺諸国で圧力を高めている。欧米当局者によると、ロシアは天然ガス取引でNATOの結束を試す一方、サイバー攻撃や偽情報の拡散を通して民主主義諸国の防衛能力に探りを入れている。そのためNATOの軍事力と西側の政治的意思は試練にさらされている。